中小企業のIT導入がうまくいかない理由

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デジタル・トランスフォーメーション(DX)の必要性が叫ばれる中、多くの中小企業がITを導入しています。

私の会社でもいくつかのシステムを導入していますが、費用対効果で考えると果たして効果が出ているのか、疑問に思う部分があります。

調べてみると、どうやら多くの中小企業で同じ悩みを抱えているようです。

なぜ、中小企業のIT導入はうまくいかないのか、考えてみました。

ITを導入した中小企業の7割が課題を感じている

中小企業基盤整備機構機構(中小機構)が2018年に実施した調査によると、ITを導入した中小企業の7割が導入後に課題があると回答しています。

ITを活用して業務効率化・生産性向上に取り組むなかでの課題について(複数回答)

選択肢回答数構成比
「IT活用する中で課題がある」と回答した群31770.6%
特にない12129.0%
無回答90.4%

中小企業基盤整備機構/IT導入に関するアンケート調査 報告書

課題の具体的な内容は、下記のようになっています。

  • コストの負担が大きい 66.6%
  • 導入したITを使いこなせていない 35.3%
  • 効果が把握できない 32.5%
  • 相談できる相手がいない 16.1%
  • 導入したITが業務に適していない 7.9%

ITを導入した中小企業の60%が「コストが高い」と感じ、30%が「使いこなせていない」「効果が分からない」と感じているということですね。

逆に言えば、

  • ITのコストに納得しているのは約40%
  • 「使いこなせている」「効果がわかっている」のは約70%

ということです。

ITコンサンルタントから見た中小企業の悩み

ITの専門家は中小企業の問題をどう見ているんでしょうか?

ITコンサルティングを行っている青山システムコンサルティングではよくある3つの問題を紹介しています。

悩み①:全体的に整合性の無い運用に耐えられないシステムになっている

複数システムを利用しているが全体としてデータの整合性が無く、人手のデータ加工や重複入力が多く運用の手間がかかっているというケースです。

原因は各部門が都度場当たり的にシステムを導入してきたためです。

青山システムコンサルティング/コンサルタントコラム / 中小企業の抱えるITの悩み

現在では様々なクラウドサービスが手頃な費用で利用できるようになりました。

そのため、社内で複数のシステムが利用されるようになり、それらのシステム間での連携がうまくいっていないというのはよくあることのようです。

ベンダーは自社システムの保障はしてくれますが、他社システムとの連携まで面倒を見るとなるとイレギュラーな業務ということになり、その分の費用も割高になります。

そうした費用を負担できない場合は手作業でのカバーとなり、システムを利用しているのに面倒な作業が増える結果に。

こうした状況を防ぐには、数年先までのシステム導入計画を作成し、それに基づいてITを導入していく必要があるということです。

場当たり的にITを導入していけないということですね。

Note

IT導入には数年単位の計画が必要

悩み②:ITベンダーに支払う金額が高いと感じる。妥当か知りたい

中小機構の調査にもあったように、IT導入での一番の悩みはコストです。

ベンダーが相場よりも高い費用を請求している場合もあるようですが、中小企業側にも問題がある場合も多いようです。

ベンダーへの依頼があいまいなため、カスタマイズ費用がかかったり、過剰投資になっている、または保守費用でもめる、等。

こうしたことを防ぐには、ベンダーの選定や発注内容を明確にするIT調達プロセスが必要だということです。

Note

ITコスト最適化には、提案依頼書やベンダー選定を含むプロセスが必要

悩み③:維持費用がかかっている割に効果が少ないと感じる

システムには導入費用(イニシャルコスト)もかかりますが、ほとんどの場合には保守費用(ランニングコスト)もかかります。

この保守費用が中小企業の負担となっている場合も多いようです。

よくある原因としては、現行業務に合わせた細かいカスタマイズを繰り返したことが挙げられています。

カスタマイズをするたびに保守費用が増えていくという仕組みです。

この対策としては、IT導入後の実績評価と、業務側の改善を含むIT投資計画の適切な見直しが必要です。

Note

保守費用の抑制には、業務改善を視野に入れた導入後評価と投資計画の修正が必要

ITを使いこなせる人材は中小企業には少ない

まとめると、ITを適切に導入し運用するには、以下のことが必要だということです。

  • 数年先までのIT導入計画
  • ベンダーの選定や発注内容を明確にするIT調達プロセス
  • 業務改善を視野に入れた導入後評価と投資計画の修正

別の言い方をすれば、これらのことをこなせるIT人材がいなければ、中小企業のIT導入はうまくいかない可能性が高いということです。

しかし、こうしたITの導入・運用までマネジメントできる人材は日本の中でも多くはいません。

当然そうした人たちは条件のいい大企業が抱えることになり、中小企業が雇用するのは難しいのが現状です。

そうなると中小企業の選択肢は以下の3つになってくるのではないでしょうか?

中小企業のIT人材対策
  • ITコンサルタントを雇う
  • 経営者・経営層自身がITについての知識を培う
  • ITに関する社員教育を行う

これらの対策を行うには、当然金銭的にも労力的にも負担がかかります。

しかし、中小企業がIT導入で失敗する大きな原因は、IT活用の人的コストを軽視している、あるいは全く考えていないことではないかと思います。

こうした人的コストを含めた上で、IT導入の是非を検討するというのが間違いのないやり方です。

もっと言えば、中小企業は拠出できるIT人的コストで賄える以上の効果をITに期待しがちなのかもしれません。

身の丈以上の効果を期待するのであれば、現実のギャップを埋めるコストが高くつくのは当然です。

今後はIT人材の確保・育成が重要となる

IT人材の絶対数が足りないということは、IT人材を確保できる企業は優位になるということでもあります。

個人にとってみれば、IT面での知識やスキルを伸ばすことで自分のキャリアアップにつながるということです。

中小企業の7割がIT導入に課題を感じているということは、残りの3割がIT面での勝者であるとも言えます。

この3割の企業は、人材面での課題を解決しているのでITを活用できている可能性が高いです。

私自身、自分のIT面の知識の向上と、社内でのIT人材の育成の2つのアクションを検討していく予定です。

Action
  1. 自分のIT面での知識の向上
  2. 社内でのIT人材育成

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